三世代が同居する家庭に生まれて。。。

東北のとある町の小さな居酒屋。

祖父母、両親、姉、兄のもとに生まれた。

都会では、核家族が主流になっていた時代だが、地方の商店街で育った私にとっては、三世代同居はそれほど珍しいことではなかった。

 

祖父母が営む居酒屋、その一人娘である母と、鉄道会社に勤める父、姉と兄。特に生活に困ったとかはありませんし、人が集まる場所だったので、賑やかで、年中人との交流も多く、周りからは少しうらやましがられてもいた。

一見、何不自由ない生活。三世代が一つ屋根の下に暮らせば、それぞれが生きた時代が重なり合い、文化的にも心豊かに暮らせそうだ。

しかし、私は、物心ついた時から、

いつも、どこか満たされない、沢山周りに人がいるにも関わらず、安心して暮らせない。不安と不満を心の中に抱えていた。

成長するにつれて、不安、不満はどんどん増していく。

家族から与えられた恩恵には自分でもありがたみを感じていた。戦争を生き抜いた祖母、そして団塊の世代と呼ばれ、地方とはいえども高度成長期の日本を築いてきた両親。働く4人の背中には、子供ながらにも尊敬と感謝を感じずにはいられない。また、厳しい両親、祖父母に厳しく育てられながらも、自分のことはわきに置いて、臆病で暴れん坊の私をかわいがってくれた姉兄の幼いころからのやさしさには、頭があがらない。いつまでも大切にしたい。言葉にするまでもなく、それが自分の当たり前だと思っていた。しかし、大切にしようと思えば思うほど、時とともに、なぜか、それとは真逆の感情がわいてくる。そして、それが私だけではなく、家族全体に蔓延してゆく。愛しい気持ちは、いつのころからか、どんどん憎しみや恨みにかわっていく。。。何も不自由ない生活をしているはずなのに。。。

 

苦しい。。。苦しくてたまらない。。。

なんとかしたいという気持ちと、口から出てくる乱暴な言葉、そして冷たい態度。。。

時に自分を責め、時に周りを責め、

その責める心がまたさらに自分を苦しめ。。。

苦しみの連鎖が止まらない。。。

 

人生はこんなものなのか。。。

 

あきらめたくない。

なんとか解決したい。

 

心理学と出会った。

心を学べば、自分も周りも笑って暮らせる。

そんな未来を期待した。

 

しかし、

学び始める間もなく、突然父親が他界した。

 

唖然とした。

死ぬべきは無力な自分だったのにという思いと、

こんな悲しみをほかの家族にはさせてはいけないという思い。

矛盾に満ちる心。

苦しさしか知らない心。

腐ってゆく心。

大切な存在を守れない無力感、絶望感。

 

生きるとは何なのか。

なぜこんなに苦しいのか。

そもそも人間とはなんなのか。

 

答えが出せたら苦しみから解放されるかもしれない。

解決策が見つかったらみんなで笑って暮らせるかもしれない。

自己啓発成功哲学、スピリチュアル、ボディワーク。

 

 

そんな矢先、母が他界した。

そして、祖父の介護が始まった。

兄と祖父母との4人の同居生活。

お互いが自分を責め、相手を責めた。

いがみ合い、罵りあい、

心がつぶされそうになっていく。。。

 

夢が叶うなら、このまま息を引き取れないものか。。。

もう。。。この悪循環は止められないのか?

自分は生涯、苦しみしか感じられないのか?

悪循環が続いてゆく。。。

 

苦しい。。。

大切な人を守りたい。。。

家族を助けなきゃ。。。

逃げたい。。。

いっそ死んでしまえたら。。。

 

苦しい思いが、

目に見える世界にどんどん蔓延していく。。。

 

自分が悪いんだ。。。

あいつらのせいだ。。。

親がわるい。。。

社会がわるい。。。

戦争がわるい。。。

どうしたらいんだろう。。。

解決したい。。。

逃げたい。。。

 

矛盾に満ちた思いが、

日に日に心を支配してゆく。。。

 

呼吸をしているのか、

ただため息を吐き続けているのか、

心が晴れる感覚を忘れていった。

 

どうせ自分なんか。。。

どうせ自分なんか。。。

生きていてもしょうがない。。。

 

でも、

自ら命を絶つ勇気もない。

 

一挙手一投足。

一呼吸。

すべてがヤケクソになっていくのを感じる。

 

 

このままではいけない、

幸せになるのをあきらめてはいけない。

突然、自分を励ましたくなる。

もう、どれが自分の思いなのかさえもわからない。

絶望と希望、絶望と希望、

希望を持つことに、生きていることに罪悪感を感じてゆく。

時だけが経ってゆく。

 

 

私が家族のそばにいること自体が問題なのか?

家を離れてみよう、新しい家族をつくってみよう。。。

つくれるはずがない。。。もう深いところであきらめてしまっているのだから、

自分の無力さを見てしまったのだから。。。

 

 

止まない呼吸と生きたい本能。

積もり積もった恨みを晴らすためだけに生きようとしている自分。

 

嫌だった。

自分が嫌だった。

まわりが嫌だった。

 

自分の一歩が人を不幸にする。

そう、考えずにはいられなかった。

 

止まない呼吸が憎らしかった。

 

その先に

この苦しみの根本原因に出会えるなど

この時は想像だにしていなかった。